これから自作PCの本格水冷に挑戦してみたい人向けの入門ノウハウ「自作PC 初めての本格水冷ガイド」シリーズ、第4弾になります!
前回までで「仕組みとパーツの役割」「導入前の確認ポイント」「パーツ選びのポイント」と作成前に必要なノウハウをご紹介しました。
今回はソフトチューブで本格水冷を構築する際の作業手順や注意点などをご紹介しようと思います。
- 必要なもの
- ①パーツの洗浄
- ②水枕、リザーバ、ポンプ、ラジエータを設置
- ③チューブの必要な長さを測定
- ④ソフトチューブをカット
- ⑤フィッティングとチューブで各装置を連結
- ⑥フィッティングのゆるみがないか最終チェック
- ⑦クーラントの注水と循環
- ⑧エア抜き
- ⑨完成
必要なもの
水冷パーツ以外に必要なものです。
チューブカッター or ハサミ
ソフトチューブ専用のカッターもありますが、ハサミや包丁などでも代用可能です。
洗浄瓶
クーラントを注水するときにこぼさず入れれるのであると便利です。
ペリフェラル4ピン AC電源
クーラントを注水する際、PCを起動させずに水冷ポンプのみ動作させるときに使用します。
ドライブ用 AC電源で検索すると出てきますが、4ピン時代のHDDは絶滅したので、この手のサプライ用品も減ってきています。
2019年10月時点で「UD-505SA」「UD-301S」が1200円~ほどで購入できます。
ドライバー(主にプラス #2)
各装置をケース内にネジ固定するのに使います。
メジャー
経路の長さを測定するのにあると便利です。
ティシュー、ペーパータオル、布タオル
クーラントをこぼしたり、漏れたときに素早く拭き取れるよう用意しておきましょう。
やる気
初めての場合は半日以上かかると思うのでしっかりと時間を確保しましょう。
①パーツの洗浄
新品パーツでも加工時のカスや油分などが付着していることがあるため、フィッティングとチューブは中性洗剤(食器洗い用など)や40℃程度の温水で洗うのが効果的です。
水枕、ラジエータ、ポンプはチューブをフィッティングで連結して直接蛇口にチューブを付けて、温水を流し込んで洗います。
通常の蛇口は内径(ID)1/2″のチューブが入るので、洗浄用に1/2″x3/4″チューブとIN、OUT連結用に1/2″x3/4″コンプレッションフィッティングを2つ購入しておくと良いです。
ID1/2″が入るような蛇口がない場合、以下手順④~⑦を行って、水枕、ラジエータ、ポンプをチューブとフィッティングで一時的なバラックループを作り、ペリフェラル4ピン AC電源で温水を10分ほど循環 x2セット程度行ってください。
お風呂場付近でバラックループを作ると排水が楽です。
ペリフェラル4ピン AC電源やポンプの電源ケーブルを濡らしてショートさせないよう注意してください。
手間や簡易ループ用に別途コストがかかるので、省略する人もいますが、綺麗な状態を長く保ちたいのであれば洗浄するのがオススメです。
不純物が多いと電蝕の進行が早まり、溶けた銅イオンと汚れが反応して青水現象(青くゲル化)が発生したりすることもあります。こうなるとさらに電蝕の進行が早くなり悪循環に入ります。汚れてからでは手遅れ(特に酸化による錆びは普通に洗浄しても落ちない)なことが多いので、いかに綺麗な状態をキープし続けられるかが水冷パーツの寿命に繋がります。
②水枕、リザーバ、ポンプ、ラジエータを設置
各装置を設置します。
経路の順番はあらかじめ考えてあると思いますが、第1弾の記事で理想的なループ順を紹介しているので、もしまだ経路に悩んでいるのであれば参考にしてみて下さい。
自作PC 初めての本格水冷ガイド① 仕組みとパーツの役割 - 理想的なループのパーツ順
③チューブの必要な長さを測定
装置間の距離をメジャー等で測定します。
④ソフトチューブをカット
測定した長さに合わせてチューブをカットします。
切断面が斜めにならないよう注意しましょう。
⑤フィッティングとチューブで各装置を連結
コンプレッションフィッティングをチューブに連結します。
コンプレッションフィッティングのG1/4オスネジ側を各装置のG1/4メスネジへ連結します。
ソフトチューブは柔らかいのである程度自由な曲げが可能ですが、経路潰れが起きる過度な曲げはNGです。(最悪クーラントが流れなくなる場合もあります)
小さなコーナーR(半径)で曲げが必要な場合、アングルフィッティングを組み合わせましょう。
メンテナンスでクーラントを排水し易くなるので、ドレン用のボールバルブやフィルポートを追加するのがオススメ。
フィッティングについての詳細はコチラ
自作PC 初めての本格水冷ガイド③ パーツ選びのポイント - フィッティング
⑥フィッティングのゆるみがないか最終チェック
ひととおり連結が終わったら、各フィッティングにゆるみがないか最終チェックを忘れずに行いましょう。
⑦クーラントの注水と循環
クーラントを注水する前に、リーク対策としてペーパータオルや布タオルでPCパーツを覆っておきます。
ペリフェラル4ピン AC電源をポンプの電源ケーブルにつなぎ、以下1~4をクーラントが循環するまで繰り返します。
1.リザーバにクーラントを注水する
2.AC電源をONにしてポンプを回しクーラントを流す
3.リザーバが空になったらOFFにしてポンプを止める
4.クーラントのリークがないか確認する
フタを開けたままポンプを回すと吹きこぼれることもあるので注意。
クーラントが循環し出したらポンプを回しっぱなしにして、リークがないかしばらく観察します。
装置とG1/4ネジ連結部分が特にリークし易いため注意してください。
リークがあった場合はすぐにポンプを止めて、ペーパータオルなどで拭き取り、フィッティングを締め直してください。
⑧エア抜き
経路内にエア(空気)が残っているとポンプがエアを噛んで流速が低下したり、水枕やラジエータにエアがたまっているとそこをクーラントが通れません。
いずれも冷却力がごくわずかに低下するくらいでさほど影響ありませんが、問題は内圧です。
空気は温まると膨張するため、内圧が上がってリークしたり、樹脂系パーツにひびが入ったりします。
そこで、クーラントが循環したからといってすぐにPC電源を入れず、半日ほどリークテストを兼ねて循環させたまま放置しておくと、エアも次第にリザーバへ移動して抜けます。(リザーバの天井口を少し開けておくと良い)
どうしても急いでエア抜きしたい場合はPCケースを傾けたり揺らしたりすることで隅のエアを移動させ抜けやすくすることができます。
あまり強く揺らすとチューブがフィッティングから抜けたりする危険もあるので注意してください。
⑨完成
半日ほどリークテストとエア抜きを終えたら完成です。
ポンプの電源ケーブルをPCの電源ユニットへ繋ぎ替えるの忘れずに。
いかがでしたでしょうか。
ソフトチューブでの本格水冷は必要な工具が少なく、柔軟性から経路の組み立てもし易いので、初めての本格水冷や、冷却力とメンテナンス性を両立したい人にオススメとなります。
この記事がこれから本格水冷を始める方の少しでも役に立ったら幸いです。
次回は本格水冷で必要なメンテナンスをご紹介しようと思います!
シリーズ記事
・自作PC 初めての本格水冷ガイド④ ソフトチューブループの作業手順
・自作PC 本格水冷ガイド Extra ハードチューブループの作業手順
・自作PC 本格水冷ガイド ExtraⅢ ラジエータファン Push? or Pull?