- Ryzen 7 5800Xの外観・特徴
- ASUS ROG STRIX B550-A GAMINGの外観・特徴
- 検証環境
- オーバークロック
- 検証レギュレーション
- ベンチマークで性能をチェック!
- 温度と消費電力をチェック!
うわああああん!!
どうしたのよ、そんな大声だして
最強の私が最強CPUの争奪戦に負けた...
あー、AMDの最新CPU Ryzen5000シリーズね
相変わらず秋葉原で上位モデルはすごい争奪戦だったみたいねぇ
お姉様はなんでそんな冷静なのよ
シングル性能でついにライバルを破った最強CPUだよ?早く遊びたくないの?
買えたわよ
え?
Zen3買えた
ええええ!?そうなの?さすが紅色のノクターナルデビルのポチり能力はA+といったところね
販売開始が19時からで助かったよ、いくらお姉様でも午前中だったら寝坊して完全敗北してるところだった
それで5950Xと5900Xどっち買えたの?
5800Xよ
それ普通に弾数あるモデル...さすが貧弱一般吸血鬼の姉は胸もなければRyzen9も買えない
フランだって壁のようなもんでしょ!あとポチりスキルに関係ないから!
10900K、Z490 3枚、3600XT、5800X、B550 2枚、RTX3090、他にもモニターや水冷パーツやら...いったい今年どれだけPCパーツ買うつもりなんですか(泣)
咲夜...あんたPCパーツのこと意外と知ってたのね
こんなに家中ころがってたら嫌でも目にはいりますからね(激怒)
こんばんワ。気づけば今年も残りわずかですね。
テレワーク中心のモグラ状態で季節感がわからなくなっていますが、🍊がいっぱい食べられるようになってもうこんな時期なんだなと実感しているみかんです(ㆁᴗㆁ✿)
ついにAMDさんがやってくれましたね!シングル性能、マルチ性能どちらも最強となったCPU、Zen3アーキテクチャを採用したRyzen 5000シリーズが2020年11月5日19時に発売されました。
当日の秋葉原には、最上位5950Xがメジャー店舗で35個前後入荷とそこまで少なくない弾数だったのに、始発電車の時間帯から整理券争奪戦が始まり、TSUKUMO.eXでは朝5時くらで購入希望者に達したらしい(((´゚ω゚`)))ヤバスギ
メジャーな通販サイトでは19時になると、どこも画面遷移が遅くなるほどF5連打の嵐でサイトビジー状態でした。
現在は発売から2週間が経過し、第2弾以降が入荷してるものの、Ryzen 9 5950X、5900Xの2モデルは瞬殺で売り切れ状態が続いていますね。まあ、こまめにチェックしていれば年内には入手できるようにはなるんじゃないかなと思いますが。
Ryzen 7 5800X、Ryzen 5 5600Xは比較的入手は容易でネットでも購入できる状況です。
みかんは当日19時にアプライドさん(通販)で5800Xを購入出来ました。
がしかし、その日は金曜で、アプライドさんの出荷は平日17時くらいまで(土日・祝日は倉庫お休み)、発送されたのは週明け月曜夕方になり、家に着弾したのは11月10日火曜の午後でした( ˘ω˘)...
比較的穴場のサイトでオススメではあるんだけど、最速で入手したい人は土日祝またぎに注意が必要ですね。
前置きが長くなりましたが、AMD Ryzen 7 5800Xと別途購入しておいたASUS ROG STRIX B550-A GAMINGを使って、色々とチェックしていきたいと思います(๑•̀ㅂ•́)و✧
Ryzen 7 5800Xの外観・特徴
パッケージ側面から本体が見えます。
5800XはTDP 105WなのでAMD純正クーラーの冷却キャパを超えてるので付属しません。なので中身の大半は緩衝材と製品のにおいがする空気です( ◜◞౪◟◝)クンカスーハー
Ryzen 7 5800X | Ryzen 7 3800XT | |
---|---|---|
アーキテクチャ | Zen3 (7nm) | Zen2 (7nm) |
コア/スレッド | 8/16 | 8/16 |
ベース/ブーストクロック | 3.8GHz/4.7GHz | 3.9GHz/4.7GHz |
L2キャッシュ | 8MB | 4MB |
L3キャッシュ | 64MB | 32MB |
TDP | 105W | 105W |
内蔵GPU | なし | なし |
OC | 対応 | 対応 |
付属クーラー | なし | なし |
価格 | $449 | $399 |
発売日 | 2020/11/5 19時 | 2020/7/18 11時 |
プロセスルールは7nmで変更ないけど、
Zen2まで:CCD=4コアのCCX + 4コアのCCX
Zen3:CCD=8コアのCCX
となり、8コアのCCDあたり1基のCCXで構成され、コアからアクセスできるL2キャッシュ、L3キャッシュがそれぞれ2倍になりました。
CCX 1基になったことでCCX間のキャッシュコヒーレンシの管理が削減され、キャッシュが増えたことによるレイテンシ増よりもトータル的に低レイテンシ化されたようです。
Zen2の時点でCPUのIPCは高かったですが、キャッシュ管理がオーバーヘッドになっていて、性能を出しきれていなかったのが、Zen3になって解き放たれ爆速になったって感じです。(たぶん)
CCX:Core Complex(CPUコアの最小単位)
CCD:Core Complex Die(CCXから構成されたCPUダイ)
キャッシュコヒーレンシ:共有リソースに対する複数のキャッシュの一貫性・整合性
IPC:クロックあたりの命令実行数
クロックは3800XTから0.1GHzが下がって3.8GHzになりました。おそらくTDP 105Wに収まる電圧でALLコア3.9GHzが回る良個体は集められなかったのでしょう。
単コアのブーストは4.7GHzが維持されてます。
ライバルのIntelと比較して、シングル性能、マルチ性能ともに上回る魅力的な製品になったため、価格は前世代から強気の50ドルアップになり、「コスパのRyzen」時代は終了しました。(まあRyzen 3000シリーズの時にすでにコスパは薄れてましたが)
5800Xの国内初値は税込58,828円。10700Kの10月5日時点価格は税込42,318円と1.6万円も開きがあります。i9 10900Kは税込61,000円で執筆時の11月18日には58,480円まで下がり、Intel最上位モデルのが安く買える状態です。
みかん的には多少コスパ悪くても速いCPUが大好きです。( ゚∀゚)o彡°AMD!
ASUS ROG STRIX B550-A GAMINGの外観・特徴
付属品
・ユーザーマニュアル
・ステッカー
・インストールメディア
・キーホルダー
・M.2スタンド x2
・M.2固定ネジ x2
・SATAケーブル x4(ストレート x2、L字 x2)
・アドレサブルRGB 1欠け3ピン⇒通常3ピン変換ケーブル x1
PCB
6層基板
VRMフェーズとヒートシンク
12+2構成
・コントローラ:Digi+VRM
・MOSFET:50A DrMOS(Vishay SIC639?)
チョークコイルとコンデンサは高耐久品と謡われてますが詳細はよくわかりません。
左側と上側のヒートシンクはアルミ合金製。ヒートパイプ連結なしの独立型。
2万円前後のミドルレンジマザーとしては十分なフェーズ数ではないでしょうか。
発熱については後述の検証でチェックしていきます!
メモリ
片ラッチのデイジーチェーン方式配線。
ASUS OptiMemⅡ設計でクロストーク(近接した配線間の干渉ノイズ)を削減しているとのこと。
Ryzen5000シリーズでのハイクロックOC実績は2枚刺しの4600MHz。
QVLを見るとSamsungチップと相性良さそう。
後述しますがBIOSもしくはAGESAが未成熟で3800MHzを超えるハイクロックなOCは今のところ不安定です。
補助電源
4+8ピン
PCIeスロット形状 | 帯域 |
---|---|
PCIe x16 | 4.0 x16(CPU直結) |
PCIe x1 | 3.0 x1(チップセット) |
PCIe x16 | 3.0 x4(チップセット) PCIe x1を1スロット以上使うと3.0 x1帯域に分割される |
PCIe x1 | 3.0 x1(チップセット) |
PCIe x1 | 3.0 x1(チップセット) |
PCIe x1がたくさんあるので、キャプチャカードをたくさん搭載したい人には嬉しいですね。
個人的にはCPU直結レーンのスロットが1本しかないため、NVMe Gen4 SSD2枚目用に4.0 x8分割できた方が嬉しかったです。
M.2フォームファクタ | 帯域 |
---|---|
2242/2260/2280/2110 | 4.0 x4(CPU直結) |
2242/2260/2280/2110 | 3.0 x4(チップセット) |
オンボードコネクタ類 | 個数 |
---|---|
SATAコネクタ | 6 |
ARGBコネクタ | 1 |
RGBコネクタ | 2 |
USB 2.0コネクタ | 2 |
USB 3.2 Gen1 コネクタ | 1 |
CPU FANコネクタ | 2 |
CHA FANコネクタ | 3 |
AIO PUMPコネクタ | 1 |
I/Oパネル | 個数 |
---|---|
USB2.0 | 2 |
USB3.2 Gen1 | 4 |
USB3.2 Gen2 Type-A | 1 |
USB3.2 Gen2 Type-C | 1 |
BIOS FlashBackボタン | 1 |
DisplayPort 1.2 | 1 |
HDMI 2.1 | 1 |
2.5G LAN(Intel I225-V) | 1 |
HDオーディオジャック | 1 |
Optical S/PDIF | 1 |
ちなみにClear CMOSボタンは非搭載ですが、シャットダウンしてマザーボード上のCLRTCと記載された2ピンをドライバーなどでショートさせればBIOSをデフォルト設定に戻すことができます。
ギャラリー
ここ数年のROG STRIXシリーズと言えば、サイバーテキストパターンを謳う多言語を羅列した独特のデザインを採用していて、わりと好き嫌いの分かれる印象でしたが、B550ではI/Oアーマーの上側にちょこっとあるくらいで、何が書かれてるか認識できないくらいの控えめなデザインになりました。
が、兄弟板にあたるB550-E GAMINGやB550-F GAMINGはI/Oアーマー下あたりに「ROGに参加せよ」と黒背景に白文字で目立つように書かれていて、個人的にはそこが好きではなかったけど、このB550-A GAMINGでは「DARE TO PLAY」という文字に変更され、白背景に銀文字で目立たなくなりました。
全体的にはホワイトとシルバーでまとめれスッキリしています。
ASRock Steel Legend、GIGABYTE VIDION DとB550はホワイトのケースに合わせやすいカラーリングの選択肢が豊富ですね⁎ˇ◡ˇ⁎
検証環境
ケース | STREACOM BC1 Open Benchtable |
---|---|
OS | Windows 10 Pro October 2020 Update |
マザーボード | ASUS ROG STRIX B550-A GAMING(BIOS Ver1212) |
CPU | AMD Ryzen 7 5800X |
CPUグリス | Thermal Grizzly Kryonaut Extreme |
CPU水枕 | EK-Velocity RGB - AMD Full Nickel |
メモリ | GALAX HOF Extreme DDR4-4400 8GB x2 |
ビデオカード | Palit GeForce RTX 3090 GamingPro OC |
ストレージ(OS用) | Samsung SM951 256GB |
ストレージ(検証) | Samsung 980PRO 500GB |
ストレージ(検証) | Intel Optane SSD 905P(SSDPED1D960GAX1) 960GB |
電源ユニット | Seasonic FOCUS Plus Platinum 850W |
電源ケーブル | Custom CableMod Cable |
リザーバ/ポンプ | EK-Quantum Kinetic FLT 120 D5 PWM D-RGB - Plexi |
ラジエータ | Alphacool NexXxos UT60 Full Copper 360mm |
ラジエータファン | Cooler Master MASTERFAN SF120M x3基 |
水冷システムケース | アルミフレームで自作 |
いつも愛用しているSTREACOM BC1というベンチ台を使って組んでいきます。
空冷や簡易水冷のレビューは既にたくさんあると思うので、みかんと言えば本格水冷!(を定着させたい)ということで本格水冷で検証していきます(o゚Д゚)ノ
水冷システムはアルミフレームから自作した台にラジエータとリザポンを載せてます。
マザーにCPUを載せてグリスを塗っていきます。
グリスは最近愛用のthermal grizzly Kryonaut Extremeというシリコングリスのなかでは最強クラスの熱伝導率14.2W/m・k
-250~350℃まで対応しており、空・水・極冷と幅広く使えます。以前愛用していたThermalright TFX(14.3W/m・k)より伸びが良く、ヘラやカードを使えば綺麗に塗布できます。粘度は130-180 Pasなので通常のKryonautとほぼ同じです。
まあ液体金属を除いて、グリスはどれ使っても温度にほとんど差が出ないことは、いっぱい検証してわかっている(自作PC ~お気に入りのグリスを探そう!~ 8種類で検証してみたよ)ので、9mlと大容量だけど税込16,280円とグリスとしては意味わからないレベルの価格帯なのでオススメはしません(;´・ω・)
水枕を固定して、メモリや電源ケーブル類を繋げます。
ビデオカードは豪勢にRTX3090を載せました。
別の記事でレビューしてるので良かったら合わせて読んでいただけると嬉しいです。
👉旬組み!2020「最強ビデオカード RTX3090 ゲーミング性能をチェックよ!」
ストレージはm.2 NVMe SSDをPCIe変換カードで接続してます。
PCIe変換カードならスロットに挿すだけ済むし、価格もAmazonで1,000円程度~あるので、検証でよく使用する人にはオススメ!(速度は落ちない製品が大半ですがたまに残念なやつもあるのでレビューは見た方が良いかも...w)
完成(∩ˊ꒳ˋ∩)
オーバークロック
いつもの免責
CPU OC編「Precision Boost Overdrive」
第2世代Zen+以降から「Pricision Boost 2.0」と、温度と電力の余裕があればさらに動作クロックをブーストする「XFR 2」(Extended Frequency Range 2)という自動OC機能があります。
そして、ユーザが手動設定することでXFR 2の温度と電力の制限値を超えて、さらに動作クロックを上昇させるのが「Precision Boost Overdrive」です。
Precision Boost OverdriveはAMD純正OCツール「Ryzen Master」というOS上で動作するソフトウェアでも設定できるけど、余計なソフトウェアを入れたくないと人もいると思うので、今回はBIOS画面から設定していく方法のを紹介します。
ASUSではAi TweakerのAdvanced画面からも設定できますが、AMDマザー共通で用意されている方を使っていきます。(他社マザーでも画面名は違いますが同じ項目があるため同様の設定が可能)
Advanced画面>AMD Overclockingを選択
Acceptを選択
Precision Boost Overdirveを選択
各項目を設定していきます。
Precision Boost Overdrive:Advanced(以下設定が面倒ならEnabledを選ぶだけでもOK)
PBO Limits:Manual
PPT Limit [W]:パッケージ電力制限、PBO LimitsをAutoにした場合396
TDC Limit [A]:熱設計電流制限、PBO LimitsをAutoにした場合160
EDC Limit [A]:電気設計電流制限、PBO LimitsをAutoにした場合190
TDCが長時間ピーク電流制御で、EDCが短時間ピーク電流を制御してます。
みかんの場合、制限にかかってブーストが止まらないよう適当に大きめの値を設定してます。
Pricison Boost Overdrive Scalar:1X~10Xまで設定できるけど何の倍率か不明。
公式的に公開も多分されてないうえ、2X以上を選んでもベンチマークスコアはほとんど伸びない模様。でも気分的に一番高くしておけば頻繁にブーストしてくれそうかなぁと勝手に解釈して10Xにしてます笑
Max CPU Boost Clock Override:ブーストクロックをオフセットする最大値
200MHzまで25MHz刻みで選べます。最大の200MHzにすると5800Xの場合、標準のブーストが4.7GHzなので普通に考えると4.9GHzまでと思いきや、5050MHzまで上がるのを観測してます。
Platform Thermal Throttle Limit:熱制限、OC機能が有効になる温度閾値らしい。
CPU OC編 手動設定
Ryzenシリーズはメーカー側で耐性ギリギリまでチューニングされていて、オーバークロックのマージンがほとんどありません。
Ryzen 5000シリーズも同様で、5950Xや5900XはALLコアのクロックをブースト値までOCしようとすると熱や電力の制限によって空水冷では常用できず、ALLコア4.4~4.5GHzあたりが限界になってしまいます。マルチ性能は手動でOCすることで性能は向上するけど、Pricision Boost Overdrive(以下PBO略)との併用はできないため、シングル性能が設定したクロック以上には上がらなくなり、自動OCが効くデフォルトのAuto設定より遅くなります。
そのため、ゲームユースではシングル性能がフレームレート向上に重要なので、PBO設定で運用している人が多いのではないのでしょうか。
一方で、5800Xはコア数が8コアと上位モデルより少なく、1コアあたり使える消費電力が多くなり、ALLコアをブースト値までOCが可能です。
5800X、5900X、5950XはすべてTDP 105Wなので、一番コア数が少ない5800XがALLコアを一番ぶん回せるってわけです。
設定方法はAi Tweaker画面>CPU Core Ratioに適応したいクロックの倍率を入力
VDDCR CPU Voltageをmanualにして電圧を入力
Ai Tweaker画面>DIGI+ VRM画面でOC動作時の安定化のために設定。
VDDR CPU Load Line Calibration:LLCと略される。電圧が降下しないよう強制するレベルで、Levelの数字が大きいほど強制力は上がるけど発熱も増えます。
VDDR CPU Current Capability:供給電流の上限、余裕をもって最大130%にしてますがVRM温度が上がりやすくなります。
VDDR CPU Power Phase Control:VRMの稼働フェーズ設定。Extremeで常に最大フェーズ稼働になる分、消費電力増。
VDDR CPU Power Duty Control:T.Probeは温度バランスで電流制御、Extremeは出力電流バランスで制御
ALLコア4.8GHz、1.35VでCINEBENCH R15、R20、R23、CPU-Z Benchなどは動作したので、Precision Boost Overdrive有効時と比べてシングル性能をほとんど犠牲にせずに、マルチ性能を底上げできるためオススメしようと思ったのですが...GeekBench5がどうチューニングしても完走できず、安定性に欠けるため、今回の検証ではPresicion Boost Overdriveを使って各ベンチマークを検証することにしました。
一応、ALLコア4.8GHz、Mem3800Mz 16-16-16-36設定のCINEBENCHだけココに貼っておきます。
メモリOC編
Intel CPUの場合、アンコア(CPUコア以外のコントローラ)のクロックはCPUコアクロックやメモリクロックとは別制御なので、低クロックメモリでもアンコアは4.3GHzなどハイクロックで動作するため、メモリOCの効果は限定的です。
一方のRyzenは、メモリクロックがInfinity Fabric(アンコア)のクロックと同期していて、メモリクロックが高いほどアンコア部の動作が速くなるため、メモリOCの効果が出やすいらしい。といっても効果のないソフトも多いし、後で紹介するベンチマークでもあまり差がないケースもしばしば。
なお、Infinity Fabricのクロック耐性はあまり高くなく、従来のZen2は3733MHzを超えると起動しなくなったり、起動しても途中でOSが再起動したりと不安定でした。
なので、3733MHzを超えるメモリOCをしたい場合、Infinity Fabric Dividerという機能を使って、Infinity Fabricのクロックをメモリクロックの半分(1:2モード)で同期させることで、よりハイクロックなメモリOCが可能でした。
ただ、アンコアの動作クロックが半分になる方が性能低下につながることが多く、常用においては耐性上限の3733MHzで止めるといった使い方をする人が多いようです。
今回のZen3はアタリ石なら4000MHzまでは1:1モードで動くかもと言われており、みかんも期待してました。実際に私の個体では4066MHzまでは1:1で動作して、OSも一見普通に動いていましたが、メモリOCの効果がでやすいGeekBench 5、FF14、Super Piといったベンチマークのスコアが全然伸びず、むしろ下がることもありました。
HWiNFO64の一番下に表示されている項目「Windows Hardware Errors」という欄を見てみると初めはTortal Errorsが0ですが、ベンチマークなどを動作させると、CPU Bus/Interconnected Errorsが増えてました。
このエラーが出ることによってデータ破損などのリスクがあるのかは不明ですが、精神衛生上よろしくないので、エラーが出なくなるまでメモリクロックを下げていったところ、3800MHzが限界でした。(3800MHzでも長時間使用していると時々1カウントされることもあった)
なので結局のところ、Zen3も常用環境でのメモリOCは3733MHzや3600MHzあたりが無難、エラーがほぼでないなら3800MHzあたりもアリという結論になりそうです。
ここからはメモリのOC設定でXMPは割愛して手動設定方法を紹介しておきます。
Ai Tweaker画面>Memory Frequencyのドロップダウンリストから適用したいクロックを選択
DRAM Voltageに電圧を入力
1.5Vくらいから設定しておき、徐々に下げて安定ラインを探るのがオススメです。
VDDCR SOC Voltageも盛ると安定しやすいのでmanualを選択して1.1~1.2あたりまで盛ると良いと思います。
Ai Tweaker画面>DRAM Timing Contol画面でタイミングを設定します。
数値は小さいほどレイテンシ(遅延)が短くなり、性能が向上します。
Trcdrd、Trcdwr、DRAM RAS# PRE Timeは同じ値にしましょう。
今回の検証では3800MHz 16-16-16-36に設定しています。
その他2rd、3rdのタイミングについては、時間がなかったのとIntel環境ほど詳しくないためすべてAutoのままにしています。
Infinity Fabricの動作クロックを1:1モードに設定します。
Advanced画面>AMD Overclockingを選択
Acceptを選択
DDR and Infinity Fabric Frequency/Timingsを選択
Infinity Fabric Frequency and Dividersを選択
Infinity Fabric Frequency and Dividersのドロップダウンリストからに1:1モードで動作する上限クロックを選択
例えば画面ように1900MHzならメモリクロックが3800MHzまで1:1モードでInfinity Fabricのクロックが同期します。
※DDRメモリは1回のクロック信号で2回のデータ転送が可能なのでデータ転送の周波数は2倍の3800MHzです。つまりInfinity Fabric Dividerはメモリクロックの半分の値が1:1を意味します。
Dividerは2066MHz(メモリ4133MHzと1:1)あたりを超える設定にすると起動しなくなったり、動作が不安定になるので注意してください。
メモリの安定動作をチェックする方法として、CPU関連の設定はデフォルト(Auto)のまま、メモリだけOCして以下のテストがオススメです。合わせて、上記で説明したHWiNFO64の「Windows Hardware Errors」のカウントが増えてないことも確認しておきましょう。
・GeekBench 5(フリー利用可能)の完走
・Super Pi Mod(フリー)の32M桁テストの完走
・TestMem5(フリー)のエラー検出なし
以下テストは長い時間がかかるため、最終的な安定ラインを確定させるのに使用するのがオススメ。
・DRAM Calculator for Ryzen(HCI Memtest)(フリー)300%以上パス
・RAM Test(有料 €9.99) 1600%以上パス
検証レギュレーション
冷却環境 | |
---|---|
室温 | 室温計 25.2℃ |
水温 | 水温計 26℃ |
ポンプパワー | 80%、回転数4000RPM |
ラジエータサイズ | 幅360mm、厚み60mm |
ファン回転数 | 1500RPM |
OC設定
CPU | |
---|---|
Precision Boost Overdrive | Advanced |
PPT Limit [W] | 500 |
TDC Limit [A] | 300 |
EDC Limit [A] | 300 |
Precision Boost Overdrive Scalar | 10X |
Max CPU Boost Clock Override | 200MHz |
Infinity Fabric Dividers | 1900MHz |
Memory | |
Mem Frequency | 3800MHz |
DRAM Voltage | 1.45V |
VDDCR SoC Voltage | 1.1V |
Mem Timing | |
CL | 16 |
tRCDRD/tRCDWR | 16 |
RAS PRE Time | 16 |
RAS ACT Time | 36 |
CR | 1T |
他 | Auto |
CPUはPrecision Boost OverdriveをBIOSから有効にし、電圧関係はメモリOCによる動作を安定化させるためSoC Voltageだけ1.1Vに盛っています。
メモリはXMPで4400MHz対応製品ですが、Infinity Fabric Dividerが1:1で安定動作した3800MHzに設定してます。
ベンチマークで性能をチェック!
画面キャプチャーはPrecision Boost Overdrive有効、メモリ3800MHz 16-16-16-36、Divider 1:1の時のものを貼っています。
ちなみにゲーム性能について気になる方は、5800XをPBO有効で、RTX3090を使って性能チェックした記事も書いてますので良ければ読んでみてください!
CINEBENCH R15
シングルスコアはPrecision Boost Overdrive有効時で270cb超えをマーク。5900Xや5950Xとほぼ変わらない性能だと思います。
マルチスコアは5900Xや5950XでPBOを有効にすると結構伸びてるレビューを見かけますが、5800Xはあまり伸びないみたい。
おそらくTDP範囲内でほとんど性能を出し切れているからだと思います。
(Ryzen 9はコア数が多いのでデフォルトではTDP制限で力を出しきれてない)
徐々に値下がりして価格の近い、前シングル王者 Intel 10900Kに対して30cb以上の差を付け圧勝。速すぐる!
マルチスコアは2コア少ないにも関わらず、10900Kのデフォルト(マザーの初期状態で電力制限は無し)にかなり肉薄しています。
CINEBENCH R20
傾向としてはCINEBENCH R15と似ていて、PBOを有効にしてもあまりスコアは伸びず。マルチ性能はIntel 10900Kに離される格好となりました。さすがに物理2コアの差は埋められないようです。
ただ、先にオーバークロックを説明した際に貼った画面キャプチャーを見てもらうと、5800X ALL4.8GHz、Mem 3800MHzでは6464ptsだったので、マルチ性能を重視したい場合はALL4.7GHz~4.8GHzに手動OCすることで、10900Kのデフォルト(電力制限は無効)と同程度かそれ以上のパフォーマンスを発揮します。
CINEBENCH R23
2020年11月13日に公開された最新バージョンのCINEBENCH。AppleのM1チップの性能も正確に安定した結果がでるんだとか。
レンダリングされる3D画像はR20と一緒だけど、コードとコンパイラが変更になり計測値は再調整されたため、R15やR20とスコアの互換性はなく比較はできません。
cpu-monkey.comの値(https://www.cpu-monkey.com/ja/cpu-intel_core_i9_10900k-1139)を参考にすると、10900Kはシングル1418pts、マルチ17325ptsなので、優劣の傾向としてはR20と同様で、シングルでは5800Xが強く、マルチでは2コアの差があるため及ばないといった感じですね。しかし5800XをALLコア4.7GHz~4.8GHzにOCすれば同程度になると思います。
CPU-Z Bench
あまり回してる人を見かけませんが、CPU-Zにも簡易的なベンチマークが搭載されていて、シングル、マルチ両方の性能を確認できます。
シングルはやはり5800Xが強いですが、マルチは10900Kのデフォルト状態にも結構な差を付けられてますね。
GeekBench5
このベンチマークはメモリのパフォーマンスがシステムに与える影響を正確に算出できることを謳っており、メモリOCの効果が大きく出るソフトです。
無理なメモリOCの設定をすると完走できないため、安定動作の簡易的なテストにもオススメ。
(常用の絶対安心ラインを探るにはRAM TestやHCI Memtest推奨)
これまでのベンチマークではPrecision Boost OverdriveとメモリOCによる効果はほとんどなかったけど、GeekBench5ではシングルで4%、マルチで9%アップしています。
Super Pi Mod
指定した桁数の円周率を計算するのに要した時間を計測するソフトで、1995年に東京大学の研究室で開発されたもの。
シングル性能しか測定できませんが、CPUだけでなくメモリのOCによってタイムが結構変わるので、オーバークロックの競技ソフトとして今も愛用されてます。
画像では3200万桁(32M)の円周率を計算した時間。
Zen2まではIntel CPUと比べて非常に計算時間が遅かったですが、Zen3で劇的に速くなりました。10900K Core 5.2GHz, Cache 5.0GHz, Mem 4400MHz 16-17-17-37で6m29.523sだったので、5800Xはデフォルトで勝利。
PBO有効、メモリ3800MHzで6分切りをあっさりやってのけた5800X恐るべし。2nd、3rdタイミングを詰めればもっと縮まりそうです( ゚∀゚)
PCMark10
ProductivityとDigital Content CreationはメモリOCの効果が出る計測タイプなので、若干スコアが伸びています。
Overall:総合スコア
Essentials:アプリケーション起動、ビデオチャットの品質、Webブラウジングの表示速度など一般的な用途のスコア
Productivity:Word、ExcelといったOffice系ソフトのスコア
Digital Content Creation:写真・ビデオ編集、レンダリングのスコア
CrystalDiskMark 8.0.0RC3
意外と知られていませんが、ストレージのランダム速度はCPU性能が影響するため、定番ベンチであるCrystalDiskMarkを使ってチェックしました。
シーケンシャルアクセス最強クラスのSamsung 980PRO 500GBと、ランダムアクセス最強クラスのIntel Optane SSD 905P 960GBを計測対象に、CPU直結レーンのPCIe 4.0 x16スロットに接続して計測しています。
まずは2020年9月23日に発売されたばかりのPCIe Gen4対応のM.2 SSD、Samsung 980PRO 500GB容量から。
M.2フォームファクタなので検証で使用しやすいようにGen4対応変換カード、アイネックス AIF-10を使用しています。(M.2スロット直挿しとスコアに差はありません)
Samsung 980PRO 500GB容量 公称値パフォーマンス | |
---|---|
シーケンシャルリード 6,900 MB/s | シーケンシャルライト 5,000 MB/s |
4K QD32 T16リード 800,000 IOPS | 4K QD32 T16ライト 1,000,000 IOPS |
4K QD1 T1リード 22,000 IOPS | 4K QD1 T1ライト 60,000 IOPS |
シーケンシャルはリード、ライトともにほぼ公称値どおり。
ランダムについては、Zen2までは公称値よりだいぶ低いスコアになることが多かったけど、Zen3では公称値を超える性能を引き出せてます。ただし、4K QD1T1ライトだけは下回りました。
NAND SSDが最も苦手とする4K QD1T1(グラフ緑)は、後述するOptane SSDと比べるとリードは約3割しか出てませんが、ライトは200MB/sを超えおり、だいぶ速くなりました。
CPUのPrecision Boost Overdriveによる違いはもう少しでると思いましたが、4K QD1T1が少し速くなっただけで、ほとんど差はないと言っていいでしょう。
余談ですが、980PROはTLC NANDなため、速度を上げるために内蔵メモリキャッシュと、空き容量に応じて可変させるSLCキャッシュを搭載しており、500GB容量のSLCキャッシュは最大90GBなので、64GiBの大容量テストでも1GiBテスト結果と差はでませんでした。
続いてランダム性能最強クラスOptane SSD 905Pを見てみましょう。
2018年5月17日に発売された製品のため最新PCIe Gen4には非対応だけど、現在もランダム4K QD1T1性能の王者に君臨しています。
Intel Optane SSD 905P 960GB容量 公称値パフォーマンス | |
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シーケンシャルリード 2,600 MB/s | シーケンシャルライト 2,200 MB/s |
ランダム4K QD32 T16リード 575,000 IOPS | ランダム4K QD32 T16ライト 550,000 IOPS |
ランダム4K QD1T1のスペックは公開されてませんが、シーケンシャルとランダムいずれも公称値を上回る性能をしっかりと引き出せています。
CPUをPrecision Boost Overdrive有効にすることでランダム4K QD1T1がアップしているのがわかります。
ランダム4K QD1T1のリードは980PROと比べて約3倍と圧倒的ですが、ランダム4K QD32T16では約7割と見劣りする数値。
4K QD1T1、4KQD32T16どちらがゲームのローディングタイムに効いてくるかはタイトルにもよるかもしれないけど、今回はローディングタイムが数値化されてるFF14ベンチマークでチェックしてみました。
※使用したマザーROG STRIX B550-A GAMINGはCPU直結レーンのPCIeスロットが1本しかないため、そちらにSSDを接続して、グラボはGeforce GT710をPCIe 3.0 x1チップセットレーンで接続してテストしてます。
レギュレーションはフルHD、標準品質(デスクトップPC)、Precision Boost Overdrive有効、Mem 3800MHz 16-16-16-36です。
Samsung 980PRO 500GB 12.647sec
Intel Optane SSD 905P 960GB 11.94sec
大きな差ではありませんが、Optane 905Pのが速いため、ランダム4K QD1T1リードの速い方がローディングタイムは短くなると言えるのではないでしょうか。
温度と消費電力をチェック!
温度
CPU-ZのStress機能を利用してALLコア100%負荷を30分間実行し、HWiNFO64でログに記録した値を集計しています。レギュレーションに書いたとおり、室温は25.2℃、ベンチマーク開始時点のクーラント温度は26℃スタートです。
5800Xはマザーボードデフォルト設定で平均74℃ やや熱いです。
Precision Boost Overdriveを有効にするとMaxで80℃になる時もありますが、一瞬だけなので平均としてはほぼ変わらず75℃でした。
幅360mm厚み60mmの大型ラジエータを使用してこの温度なので、最低でも240mm簡易水冷が良いかなという感じです。
PBO有効時にROG STRIX B550-A GAMINGの基板、ヒートシンク温度をサーモグラフィカメラ Seek SHOT PROを使って計測してみました。
基板 55℃、ヒートシンク 50℃程度と非常に低い温度なので、スポットファン無しで運用できちゃいます。やるやんASUS!
消費電力
CPU-ZのStress機能を利用してALLコア100%負荷を30分間実行し、HWiNFO64でログに記録した値を集計しています。
マザーのデフォルトで電力制限が無効になっている10900Kと比べるとおとなしめに見えますが、決して低くはありません。まあ5800XもTDP105W製品なのでこんなものでしょうか。
ちなみにRTX3090を載せて、比較的重たいFF15ベンチマーク、4K解像度、高品質で実行中のシステム最大消費電力は587W。アイドルは70W前後でした。
5800X + RTX3090でゲームを長時間遊ぶときはエアコンで室温を調整しないと、気づいたら30℃オーバーなんてことになりますのでご注意を。夏場がコワイ(;'∀')
いかがでしたでしょうか。
かなりのボリュームになりましたが最新パーツ5800X、ROG STRIX B550-A GAMING、ついでにストレージのSamsung 980PROも含め、ガッツリと検証できたと思います。
時間があれば、後日メモリOCをさらに深堀したいと考えてるけど、現状のBIOSあるいはAGESAまたはその両方が未成熟な状況で、メモリOCが不安定なので今はあまり時間をかけてタイミングを詰めてもなぁという感じがしています(;´・ω・)
CPUのオーバークロックはブーストクロックを超えるALLコア4.8GHzをCINEBENCH系が一通り完走できたので、常用いけるか!と期待しましたが、GeekBench5やPCMark10が完走できず、ぬか喜びしてしまいました。
ALLコア4.7GHzの常用は可能ですが、PBO有効で自動OCを利用した方がシングル性能が高くゲームユースには最適ですね。
もちろんマルチ性能は手動でALLコアOCする方が高いパフォーマンスが得られるため、これまでのRyzen同様ニーズによって使い分けになるのかなと思いました。
やはり残念だったのは、値下げによって同価格帯になっている10900Kと比べ、物理的に2コア少ない、内蔵GPUなしということ踏まえると以前のようなコスパは見る影もない点ですね。このままAMDにあぐらをかかせて、どんどんコスパが悪くならないようIntelには巻き返しを図って欲しいと切に願います。
個人的にはPBOを有効にすることで上位のRyzen 9と同じシングル性能が出る(ブースト100~200MHz低い差が埋まる)ため、ゲームでハイフレームレートをたたき出せるし大満足です。
速いのが欲しいけど12コア以上も必要としないユーザにはオススメできるCPUだと思います。
ROG STRIX B550-A GAMINGは、十分なVRMフェーズ数と良く冷えるヒートシンク、すっきりとしたホワイト&シルバーデザイン、11月22日時点で2万円アンダーとコスパも良いです。
ただ、PCIe 4.0のスロットが1本しかないため、ビデオカードをPCIe 4.0 x8にレーン分割して2枚以上のGen4 NVMe SSDをCPU直結4.0 x4レーンで使うことができないのが残念でした。まあ、いっぱいGen4 NVMe SSDを使いたいならX570のが拡張性は有利なので白系マザーならASUS PRIME X570-PROも良いんですけどね⁎ˇ◡ˇ⁎
チップセットファンがどうしても気になってB550を選んでしまいました笑
ファンレスで白系X570マザーを新しく出てくれると嬉しいなぁ(チラッ
それでは最後まで読んでくださってどうもありがとう٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
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