皆様、謹賀新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
2022年1本目の記事はみんな大好き本格水冷の話になります!
今回はAlphacool製品の国内正規代理店であるTechAce様よりビデオカード水枕「Eisblock Aurora Acryl GPX-N RTX 3090/3080 with Backplate」をお借りすることができたので、現行最強(発熱もすごい)のビデオカード NVIDIA Geforce RTX 3090をどれくらい冷やすことができるのかチェックしていきたいと思います!
私はラジエータやポンプ、フィッティングなど、様々なAlphacool製の水冷パーツを使ってきましたが、ビデオカード水枕は初めてになるので、どんな製品か楽しみです。
ご存じの方も多いと思いますが、ビデオカードを本格水冷で冷却するとGPU温度を大幅に下げることができ、長時間のゲームプレイでも高いフレームレートを維持しやすく、恩恵はとても大きいです。
一方で、本格水冷化するにはビデオカード本体の分解行為を伴うため、一部のメーカーを除いて製品保証が受けられなくなることから、高額なビデオカードを分解するのは怖いなぁと思う人もいるでしょう。
私も初めてビデオカードを本格水冷化したときは冷や汗かきながらの作業でしたが、やってみると実はそこまで難しくありませんし、以降何度もやってきましたが失敗したこともありません。
もちろん自己責任にはなりますが、本記事では作業手順や注意ポイントもご紹介しますので、チャレンジしてみたい方は是非参考にしてみてください!
製品リンク
TechAce ECサイト:Alphacool Eisblock Aurora アクリル GPX-N RTX 3090/3080 バックプレート搭載
Amazon.co.jp:Alphacool Eisblock Aurora アクリル GPX-N RTX 3090/3080 バックプレート搭載
- Alphacool「Eisblock Aurora Acryl GPX-N RTX 3090/3080 with Backplate」の外観
- ビデオカード水枕の換装手順
- 検証環境
- RTX 3090の温度チェック
- まとめ・感想
Alphacool「Eisblock Aurora Acryl GPX-N RTX 3090/3080 with Backplate」の外観
マニュアル
英語、ドイツ語、フランス語での記載はありますが、残念ながら日本語には非対応。
ただ、図解はしっかり入っているし、厚みの異なるサーマルパッドは色分けして記載されてるので、見れば迷わず作業できるようになっています。
サーマルパッドが入っている袋もマニュアルに合わせて色分けされてました。
水枕本体
冷却部はニッケルメッキ加工された銅製プレートになっており、GPU、ビデオメモリ、電源フェーズのMOSFETと接触して熱伝導する仕組みになっています。
他社の水枕ではチョークコイル(インダクタ)も冷却できるよう銅製プレートがありますが、本製品はありませんでした。また、チョークコイルはサーマルパッドを挟んで固定することで、コイル鳴きを抑える効果も期待できるため、次世代品ではチョークコイル部分にも銅製プレートを追加してほしいところです。
さらに、熱で製品寿命が大きく変わるコンデンサ部分も一緒に冷やせる仕組みなっていると完璧なんですけどね!
最も高温となるGPUの熱を素早く移動させるために、クーラントの流速を上げるフィン構造(いわゆるジェットプレート)が採用されおり、冷却性能は期待できそうです。
水枕のフチにはアドレサブルRGBでライティングできるようLEDテープが付いていました。
ちなみにLEDコネクタは3ピンになってますが、付属の変換ケーブルをつなぐことで主流のピンアサインである、4ピン形状の1欠け3ピンコネクタにできます。
バックプレート
他社ではバックプレートが別売になっている製品もありますが、本製品には付属してました。材質はアルミ。
RTX 3090は基板裏側にもビデオメモリが実装されており発熱するため、バックプレートへ熱伝導できるのは嬉しいポイントです。
ビデオカード水枕の換装手順
まず作業を始める前に以下の準備をしましょう。
✿ビデオカードの動作確認
買ったばかりのビデオカードをいきなり分解するのではなく、まずは空冷クーラーのまま、初期不良がないか動作確認を必ず行いましょう!
✿精密ドライバーセット
一般的なプラス2番のドライバーではネジ山が合わないので精密ドライバーセットが必要です。
✿付属のマニュアル
使用するネジやサーマルパッドは複数種類あるため、必ず付属のマニュアルを確認しながら作業を進めましょう。
①ビデオカードの分解
今回使用するビデオカードは
Palit GeForce RTX 3090 GamingPro OC
基板がリファレンスデザインのビデオカードです。
まずはバックプレートから見えてるネジをすべて外します。
一部、ネジ上にシールが貼れて隠れていますがドライバーを突き刺してネジを外しましょう。
ネジを一通り外したらバックプレートが取れます。
基板側から見えてるネジがないため、そのまま基板をクーラーから剥がしますが、その前にファンの電源ケーブルやRGB LEDのケーブルがクーラー側面から見えている場合、ペンチなどで摘まんで外しておきます。
基板とクーラーはグリスやサーマルパッドで密着してるので、剥がすには少し力が必要です。勢いよく引っ張らず、ゆっくりと力をいれながら剥がしていきます。
少し開くと、まだ基板と繋がっているケーブルが見つかることもあるので外します。
分解後
基板側のグリスやサーマルパッドの付着跡などを綺麗にしたい場合、ティッシュで軽く拭きとった後、エレクトロニッククリーナーを吹けば綺麗になります。
無理にティッシュなどで綺麗にしようとすると、GPUコアやメモリチップに引っ掛けて欠けさせてしまうとビデオカードは動作しなくなってしまうため無理は禁物です。
汚れてても水枕を取付けたら見えませんし性能に影響ないため、気にならない人はGPUコアだけ軽く拭きとればOKです。
②水枕の装着
水枕側に付属のサーマルパッドを載せていきます。
本製品ではあらかじめサーマルパッドは適切な大きさにカットされてました。
位置はしっかりマニュアルで確認しましょう。
サーマルパッドは両面にホコリ除けフィルムが貼られているため、剝がし忘れにご注意を!
次はGPUにグリスを塗布します。使用したグリスは付属のもの。
一般的な注射器型になっており、容量も3回分以上あると思います。比較的柔らかく均一に伸ばしやすいです。
熱伝導率のスペックは不明ですが、所有していた人気のグリス「Thermal Grizzly Kryonaut Extreme(熱伝導率:14.2W/m・K)」と軽く温度を比較をしてみましたが、ほとんど差はなかったので、冷却性能もバッチリです。
グリスは隅々まで伸ばしましょう。
不要になったカードや厚紙をヘラ代わりに使用すると綺麗に伸ばせます。
グリスは非導電性のため、もしダイからはみ出してもショートする心配はありません。
水枕を下にして基板を上から載せ、マニュアルどおり4か所ネジ留めします。
付属のワッシャーを間に挟むのを忘れずに。
ちなみに、このスプリング付きネジで固定する4か所のネジ穴には遊び(余裕)があります。
この後取り付けるバックプレートのネジ穴、基板のネジ穴、水枕のネジ穴の3つを共締めする必要があり、私は最初、穴位置が遊びによってズレていたため上手くバックプレートをネジ留めできませんでした。
対策として、スプリング付きネジ(下の写真内側の4つ)を完全に締める前に、基板のネジ穴、水枕のネジ穴にズレがないか、ピンクの〇で囲った箇所をバックプレートを固定するネジを使って事前に確認することをおススメします。
③バックプレートの装着
基板側に付属のサーマルパッドを載せます。
位置はしっかりマニュアルで確認しましょう。
バックプレートを上から載せてネジ留めしたら完成です。
クリアのアクリルから基板部分が見えるため、メカ好きにはたまらないデザインですね。
ギャラリー
アドレサブルRGB LEDコネクタをマザーボードのピンヘッダに直接繋いで使用するとLEDの故障原因になるとのことで、別売の「Alphacool Aurora Eiscontrol Addressable RGB Controller」を使うのが推奨のようです。
私が撮影したときは気づかずに直接繋いでしまい普通に光らせることができましたが、故障した際は保証外とのことですので自己責任でお願いします。
検証環境
ケース | STREACOM BC1 Open Benchtable |
---|---|
OS | Windows 11 Pro バージョン 21H2 |
マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS Z690 FORMULA(BIOS ver.0803) |
CPU | Intel Core i9 12900K |
CPUグリス | Thermal Grizzly Kryonaut Extreme |
CPU水枕 | EK-Quantum Velocity2 D-RGB - 1700 Nickel + Satin Titanium |
メモリ | Corsair VENGEANCE DDR5 5200MHz 16GBx2 |
ビデオカード | Palit GeForce RTX 3090 GamingPro OC |
ビデオカード水枕 | Alphacool Eisblock Aurora Acryl GPX-N RTX 3090/3080 with Backplate(Reference) |
ビデオカードB/P | 上記水枕付属バックプレート |
ストレージ | Samsung SM951 256GB |
電源ユニット | Seasonic FOCUS Plus Platinum 850W |
電源ケーブル | Custom CableMod Cable |
リザーバ/ポンプ | EK-Quantum Kinetic FLT 120 D5 PWM D-RG - Plexi |
ラジエータ | Alphacool NexXxos UT60 Full Copper 360mm |
ラジエータファン | Cooler Master MASTERFAN SF120M x3基 |
水冷システムケース | アルミフレームで自作 |
冷却環境
室温 | 室温計 25.4℃ |
---|---|
水温 | 水温計 26℃ |
ポンプパワー | 80%、回転数4000RPM、流量 130L/h |
ラジエータサイズ | 幅360mm、厚み60mm |
ファン回転数 | 1500RPM |
RTX 3090の温度チェック
今回は高負荷となる4K解像度でベンチマークを動作させ、温度測定にソフトウェア HWiNFO64(ver. 7.16)を用いて記録しました。
3DMark FireStrike Ultra
最高温度 42.0℃
3DMark TimeSpy Extreme
最高温度 42.5℃
FF XIV 暁の終焉 ベンチマーク
最高温度 47.4℃
FF XV ベンチマーク
最高温度 47.7℃
PSO2 NGS キャラクタークリエイター兼ベンチマーク
最高温度 43.5℃
バックプレート温度
検証で使用したRTX 3090は基板裏側にもビデオメモリが実装されており、その部分はバックプレートからの放熱になる(水冷で冷却できない部分)ため、どれくらい温度が上昇するかサーモグラフィカメラ Seek SHOT PROを使って確認してみました。
今回のベンチマークで最も温度の高かったFF XVベンチマーク終了間際で計測しています。
バックプレートへファンによる送風なしの状態
全体的に満遍なく温度上昇していることがわかります。
測定範囲での平均は65℃、最も熱い部分で66℃でした。
しっかりとバックプレートへ熱伝導しているぶん65℃はなかなか熱いですね。
バックプレートへファンで送風ありの状態
測定範囲の平均で55℃、最も熱い部分で58℃と、8℃~10℃程度下がっていることがわかります。
長時間のゲームプレイではバックプレートまでしっかりと風が届くようエアフローを確保するのが良さそうです。
まとめ・感想
良いところ
・4K解像度の高負荷でもGPU温度を50℃未満に抑えられる
・アドレサブルRGBのライティングが綺麗
・金属のバックプレートが付属してる(別途買わなくて良い)
・図解が多くマニュアルがわかりやすい
・サーマルパッドがあらかじめカットされている
改善してほしいところ
・各社マザーボードのアドレサブルRGBピンヘッダに繋いでライティング機能を使えるようにしてほしい(別売コントローラはコスト増のため)
・チョークコイル部分も熱伝導できるよう銅製プレートを追加してほしい
・バックプレートに細かい傷があったため検品をしっかりしてほしい
NVIDIA Geforce RTX 3090は消費電力350Wと、なかなか凶悪な電力食い+高発熱なビデオカードで、厚さ3スロットの3連ファンを搭載した大型冷却機構をもってしても空冷のままでは、FF XVベンチマークを4K解像度+高品質で動作させるとGPU温度が70℃を超えていました。
今回の検証では、本格水冷にすることでいずれのベンチマークも50℃未満と、空冷比で20℃以上低くすることができました。長時間のゲームプレイでも温度を気にせず安心して遊べると思います。
CPUとビデオカードをまとめて1基のラジエータで冷却する環境でしたが、それぞれ別のラジエータで冷やすことでさらに温度を低く抑えることもできそうです。
また、空冷クーラーはケース内に熱を放出する内排気モデルが主流で、多くのRTX3090やRTX3080はトリプルファンモデルでバックプレート右側に通気口の空いた構造になっています。
この構造によってビデオカードは冷やし易くなりますが、メインメモリやCPUクーラーがビデオカードから放出される温風にさらされます。熱々とまでは言いませんがそれなりに温かいんですよね。
一方、本格水冷でケーストップにラジエータを排気方向でファンを設置することで、直接熱を外へ逃がすことができ、ケース内の温度を低く保ち、他パーツへの熱影響を抑えられるメリットもあります。
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したRTX 3090/3080のリファレンス基板用「Eisblock Aurora Acryl GPX-N RTX 3090/3080 with Backplate」はTechAce 公式ECサイトのほか、Amazon.co.jpからも購入できます。
www.amazon.co.jp
またAlphacool Eisblock GPXシリーズはリファレンス基板用だけでなく、ほとんどのハイエンドビデオカードに対応した水枕を発売しています。
・ASUS ROG STRIX 3090/3080
・ASUS TUF 3090/3080
・ASUS Turbo 3090/3080
・MSI Suprim X 3090/3080
・MSI Ventus 3090/3080/3070
・GIGABYTE Aorus Master/Xtreme 3090/3080
・GIGABYTE Gaming/Eagle 3090/3080
・GALAX HOF 3090/3080Ti
・EVGA FTW3 3090/3080
・他 3070等
気になる方は国内正規代理店 TechAce 公式ECサイトよりチェックしてみてください。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。
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