- ビデオカードを水冷化するメリット・デメリット
- EKWB for RTX4090
- ビデオカードの水冷化手順
- ビデオカードのオーバークロック設定方法
- 検証環境とレギュレーション
- ベンチマーク
- GPUクロック
- 温度
- 消費電力
- まとめ
いや~今年の自作PCは色々とアツかったワ!(モグ)
CPU、ビデオカード、DDR5ハイクロックメモリ、主要パーツはどれもパフォーマンスジャンプアッポゥしたわね
足回りを支えるマザーボードと電源ユニットも次世代になったしほとんどのパーツが新しくなった(モグモグ)
Gen5 NVMe SSDが登場しなかったのは残念だったけど...
来年には市場投入されるからお財布の紐をゆるめてじっと待つのも大人の醍醐味よ
新製品の登場もそうだけど、オフラインでも久しぶりの大型イベント「ASK★FES 2022」があったし、IntelやSilverStoneのイベントもあってメーカーや自作erとイェイイェイウォウウォウ交流できて楽しかったワ(モグモグモグ)
ちょっとフラン、なに全クリあとのエンドロール見るような余韻顔してるわけ?今年はまだやり残したことあるんですわ?
e?
欲しいパーツは全部買って遊んだしイベントも行った、コタツを出してみかんも箱買いしてお菓子もたんまりある。年末年始に遊ぶゲームも用意したし完全万端なのは確定的に明らか(モグモグモグモグ)
コイツでRTX4090を水冷化するのを忘れてるわよ!
そういえば最初に買ったGainward製は水枕が発売されないから水冷化するためにASUS製を追加で買ったんだもんね(モグモグモグモグモグ)
RTX4090の空冷クーラーはどのメーカーも3.5スロット以上の特大サイズで良く冷えるから水冷化は必要ないって声も聞くけれど、実際に検証して確かめてみるのが真の自作erよ
か、かっこいいタル~。この時期普通ならもうコタツに入ってみかんを食べるのに寒いなかコタツから出て隣の部屋までドライバーとカッターとハサミを取ってくるのはさすが孤高の一級自作erは格が違った(モグモグモグモグモグモグ)
それほどでもない(キリ)
というか孤高じゃなくてフランも手伝いなさいよ
Zzz...もう食べられない...みかんは一日9個で良い...
ちょとなにいきなりコタツ寝落ちしてるわけ?しかも私のぶんまで食べちゃってるし!起きて工具取ってくるついでにみかん持ってきなさいよー
お嬢様がた...大掃除も残ってますからね
こんばんワ。みかんです(ㆁᴗㆁ✿)
今年は魅力的なPCパーツが本当にたくさん出てきましたね!嬉しい反面、円安も相まってお財布に致命的なダメージを受けた人も多いんじゃないでしょうか...私もです。
買いたくて買うんじゃない、買ってしまうのが自作沼という名セリフがあるので、後悔なんて微塵もせずに来年もしっかり錬金に励みたいと思うます。
さて、今回はEKさんの新作ウォーターブロック「EK-Quantum Vector² Strix/TUF RTX 4090 D-RGB - Nickel + Acetal」を購入したので、以前レビューした「ASUS TUF Gaming Geforce RTX4090」を標準の空冷クーラーから換装して本格水冷で冷やしていくます!
水冷化することによるパフォーマンスの変化やオーバークロックチャレンジ、温度の検証だけでなく、ビデオカードを水冷化するメリット・デメリット、作業手順なんかも含めて完全解説していくので、本格水冷に興味のある方は是非チェックしていってください(๑•̀ㅂ•́)و✧
ビデオカードを水冷化するメリット・デメリット
メリット
メリット①:冷却力アップとコンパクト化の実現
RTX4090は前世代からCUDAコア数が大幅に増やすことで性能をジャンプアップさせたわけだけど消費電力もRTX3090から+100Wになりかなり増えました。
ボードメーカーも高負荷時のGPU温度を抑えるためにこれまで以上の特大クーラーを搭載することで発熱に対処してます。
なお、RTX4090では前世代RTX3090のように基板裏にメモリを実装してないので、消費電力は増えたものの発熱源は減って冷やしやすくなってるため、ASUS TUFなど良く冷える製品なら室温25℃環境下でGPU温度を65℃程度に抑えられてます。多くの製品は70℃未満に抑えられてるんじゃないでしょうか。そんな特大クーラーの効果もあって、RTX4090には本格水冷は必要はないんじゃないかという声も耳にします。
確かに、以前までのように空冷と比較してマイナス20℃といった大幅な冷却性能アップは難しくなりました。もちろんビデオカード専用にラジエータを2つ用意すればグッと冷却力をアップすることも可能だと思いますけどね。
今回の検証環境ではCPUとビデオカードを360mmx60mmサイズの1つのラジエータでまとめて冷却していることもあり、私自身、期待していたより冷えなかったのは事実ですが、それでも空冷クーラーよりは低い温度に抑えることができました。
実際にどれくらいの温度になったのかは後述する温度編でご紹介します。
また温度管理だけでなく、厚み2スロット未満(2.5cm程度)、幅27cm程度とコンパクトになるため、空冷クーラーでは塞がってしまうマザーボードの3スロット目PCIeが使えるようになります。
メリット②:ケース内温度のコントロール
本格水冷化することでビデオカード自体の温度だけでなく、ケース内の温度上昇も抑えることができます。
現在主流の空冷クーラーはケース内に熱を放出する内排気モデルであり、多くのRTX4090ではバックプレート右側に通気口の空いた構造になってます。
この構造によってビデオカード自体は良く冷えるけど、メモリやCPUクーラーがビデオカードから放出される温風を受けてしまいます。熱々とまでは言わないけどそれなりに温かいです。
一方、本格水冷ではケーストップにラジエータを設置し、ファンを排気方向にすることで直接熱を外へ逃がすことができ、ケース内の温度を低く保ち、他パーツへの熱影響を抑えられます。
メリット③:GPU Boostによるクロックの底上げ
GeforceビデオカードのGPUクロックは自動OC機能である「GPU Boost」によって、Power Target(電力制限)とTemperature(温度制限)が許す範囲でブーストしてくれます。
私が購入したASUS TUF Gaming Geforce RTX4090は非OCモデルなので、標準のブーストクロックは2,520MHzですが、空冷の状態で100%負荷時の実働は2,685MHz~2,730MHzまでGPU Boostによってクロックが上昇してました。
本格水冷にするとさらに温度マージンに余裕がができるため、同様に100%負荷時の実働は2,715MHz~2,745MHzと手動OCしなくても安定して高いブーストクロックを維持してました。
デメリット
もちろん、ビデオカードの本格水冷も良いこと尽くめではありません。。。
次はデメリットを紹介します。
デメリット①:保証がなくなる
空冷モデルをカスタムして本格水冷にする場合、GIGABYTEなど一部メーカーを除いて分解行為をした時点で保証がなくなります。写真のようにセキュリティシールが一部のネジ上に貼られてるので、分解するときに剥がすか、そのままドライバーで突き破る必要があります。これによってユーザが分解したことがわかるようになってます。
ビデオカードは世代が新しくなるごとに価格上昇も激しく、今やフラッグシップモデルは30万円前後します。万が一故障したらメンタルブレイク必至なので、保証がなくなるのは不安ですよね。
保証期間はメーカーによって違うけど、だいたい2年~3年くらいで普通に使っていれば期間内に壊れることはほとんどないと思います。私はこれまでたくさんのビデオカードを買ってきたけど、3年以内に故障した経験はありません。
ただし、初期不良は意外と有りうるので、いきなり本格水冷化するのはやめましょう。
👉きちんと動作確認してから水冷化しよう!
デメリット②:手間と導入コスト
本格水冷は空冷でビルドするより使用するパーツが増えますし、配管を加工する手間などで時間がかかります。
空冷なら1~2時間程度で組めても、本格水冷はベテランでもきちんと洗浄やリークテストなどをしていると半日からそれ以上かかることもあります。
初めての人だと、どの水冷パーツを使えばいいのか?どう配管したらいいのか?など悩みますし、水冷パーツを一式揃えるのにも時間がかかります。
そして、水冷パーツは結構高いです。中国の安いメーカーを選んでも6万円以上はかかると思います。
RTX4080を水冷化しようとするとその水冷パーツ代でRTX4090が買えちゃうので、性能アップの目的ならワンランク上のモデルを購入する方が絶対に良いです。
手間や価格といったハードルを乗り越え、ハイクロックと冷却力そしてロマンを追求したい!でも本格水冷のことはまだ良くわからない。。。って方は以下の記事で入門ノウハウをまとめてるので参考にしてみてください。
EKWB for RTX4090
本格水冷に興味のある方はすでにご存じかもですが、RTX4090ウォーターブロックの話をする前に、EKさんがどんな会社なのか簡単に紹介しておくます。
EKは約20年の歴史を持つスロベニアの会社で、自作PCの水冷ではBitspowerに並ぶ老舗です。
製品の加工品質が高く、シンプルでスマートなデザインが多いです。
今年5月には日本法人も設立され、日本公式オンラインショップでの購入も可能になったので、個人輸入しなくても公式から直接購入が可能になりました。もちろんこれまでどおり、オリオスペックやCoolingLab、TSUKUMO、PCワンズなど国内のPCパーツショップで購入することもできます。
また、本社から個人輸入した製品についても、EK Japanでサポートが受けられるのは非常にありがたいですね。
今まで、EKWB製品を本社より輸入で購入されたお客様へ
— EK Japan 公式 (@EKJP_Official) 2022年12月26日
RMAでお困りの場合は、EK Japanにてご対応を致します。
下記の点をご確認後に、jp.rma@ekwb.comまでご連絡ください。 pic.twitter.com/uPWqLGorSm
本社の公式ショップではPaypal決済が使え、日本への発送もしてくれるので簡単に個人輸入ができます。
www.ekwb.com
国内のオンラインショップはスロベニア本社で購入するより少し割高なので、まとめ買いにはオススメしませんが、国内から発送されるので急ぎで必要な時や、3000円以上から送料無料を踏まえると価格が安いものを買うときは国内のがお得になることもあります。
jpshop.ekwb.com
EK Japan公式Twitterも同時期から活動を開始しており、新製品の紹介やセール情報などを発信してるので本格水冷に興味のある方はチェックしておくと良いかも。
さて、本題のRTX4090用ウォーターブロックですが、以下メーカー別にそれぞれ対応製品が出てます。
・ASUS Strix/TUF
・GIGABYTE Aorus Master/GAMING OC
・MSI SUPRIM/Trio
・Zotac AMP/Trinity
・NIVIDA FoundersEdition
RTX3000シリーズまではリファレンス基板用も作られてたけど、RTX4090ではリファレンス基板を採用するメーカーがほとんどないので、今作では出さないのかも。(2022.12.27時点ではアナウンスなし)
ラインナップは冷却機能 2種×デザイン 2種の合計4種展開となってます。
<冷却機能>
①基板表側が水冷+裏側がブラックのアルミ製バックプレート
②基板両面が水冷(ABP:アクティブバックプレート)
RTX4090は基板裏側にメモリは実装されてないので、RTX3090ほどバックプレートは熱くならないけど、長時間100%負荷がかかると25℃環境下で50℃近くになることがわかってます。バックプレートの上にフィギュアなどを飾りたい人はABPモデルを購入すると良いでしょう。
<デザイン>
①Nickel + Plexi
→冷却部が銅製ニッケルメッキコーティングされたものをクリアのアクリルでカバーしたデザイン
②Nickel + Acetal
→冷却部が銅製ニッケルメッキコーティングされたものをブラックのアセタール樹脂でカバーしたデザイン
EK-Quantum Vector² RTX 4090 D-RGB - Nickel + Plexi
EK-Quantum Vector² RTX 4090 D-RGB - Nickel + Acetal
EK-Quantum Vector² RTX 4090 D-RGB ABP Set - Nickel + Plexi
EK-Quantum Vector² RTX 4090 D-RGB ABP Set - Nickel + Acetal
今回私が購入したのはEK-Quantum Vector² RTX 4090 D-RGB - Nickel + Acetalです。
ビデオカードの水冷化手順
精密機械を分解するのはコワイなぁと思うかもですが、実はそこまで難しい作業ではありません。
分解作業を始める前に準備するもの
①精密ドライバーセット
一般的なプラス2番のドライバーではネジ山が合わないので、プラス0番、プラス00番、メーカーによっては六角ネジを使用してる場合もあるので、一式入ってるセットを用意しましょう。
②カッター or ハサミ
付属のサーマルパッドは汎用サイズになってるので、必要な大きさにカットにするのに使います。
③インストールマニュアル
以前は取説が付属してたけど、RTX3000シリーズからペーパーレス化され、自分で本社公式サイトからダウンロードしておきましょう。(Japan公式にはリンクが無い模様)
英語版しかないけど図解がたくさん載ってるので大丈夫です。
製品ごとにマニュアルが違うので、購入したモデルのものをダウンロードしましょう。
製品ページ下の方に「installation manuarl」と書かれたリンクがあります。
一応、私が購入したEK-Quantum Vector² RTX 4090 D-RGB - Nickel + Acetalのインストールガイドのリンクを貼っておきます。
👉https://www.ekwb.com/shop/EK-IM/EK-IM-3831109901250.pdf
④保証がなくなっても泣かない覚悟
先のデメリット①で紹介したとおり、一部メーカーを除いて製品保証が受けられなくなるため、理解した上で本格水冷化しましょう!
空冷クーラーの取り外し
まずはバックプレートから見えてるネジをすべて外します。
ネジの上に貼られたセキュリティシールは剥がす or そのまま上からドライバーを突き刺してネジを外しましょう。
続いて、ブラケット部分のネジを外します。
外から見えてるコネクターを外しておきます。
外から見えるネジとコネクターを一通り外したらクーラーが外れます。
基板とヒートシンクはグリスやサーマルパッドで密着してるので、剥がすには少し力が必要です。ガバッと勢いよく引っ張らず、ゆっくりと力を入れながら剥がしていきましょう。製品によってはヒートシンクを剥がすと、まだ繋がってるケーブルがあったりするので外しておきましょう。
基板にサーマルパッドが残っている場合は、剥がして捨てるか、空冷クーラーに戻す予定がある場合、ヒートシンク側に付けてラップ等でくるんで乾燥しないよう保管しておきましょう。
ASUS TUFでは基板側からバックプレートにネジが2か所とめられてたのでそこも外します。
基本的に素直に外れない場合はどこかしらにネジが残ってるので、よく確認しましょう。
無理に外そうとして基板が曲がったり、実装コンポーネントを痛めてしまうと故障の原因になります。
グリスは柔らかい布やティッシュで拭き取ります。
コンポートネント上に付着したサーマルパッドの付着跡などは無理に拭き取らなくてOKです。拭き取るときにGPUコアやメモリチップの角に引っ掛けて欠けさせてしまうと故障してしまうのでご注意を。
綺麗にしたい人はエレクトロニッククリーナーで洗い流して乾燥させるのがオススメ。
ASUS TUF Gaming Geforce RTX4090の基板表
基板裏
サーマルパッドとグリスの設置
次はメモリや電源フェーズなど各コンポーネントの上に、付属のサーマルパッドを載せます。
他社のウォーターブロックだとサーマルパッドはあらかじめカットされてたけど、EKさんの付属品は汎用的な大きさになってるので、カッターやハサミなどを使って必要な大きさにカットします。正直これは面倒なのであらかじめカットしてくれると嬉しい。
サーマルパッドは両面にホコリ除け保護シートが貼られてるので、剥がし忘れにご注意を。(写真ではまだ青い保護シートを剥がしてません)
コントローラなど小さなコンポーネントにもサーマルパッドを載せるため、インストールガイドを良く見て載せ忘れの無いように気をつけましょう。
最後は指差し確認よ👉
グリスをGPUコアに塗ります。
付属品にはThermal Grizzlyのグリスが入ってます。グレードは不明だけど水冷用だからHydronautかな?
付属品でも十分だけど今回はThermal Grizzly Kryonaut Extremeを使いました。
GPUコアにはしっかりと四隅までグリスを伸ばしましょう。
綺麗に塗ろうとせっかくマスキングテープまで貼ったのに、結局隙間からはみ出しちゃいました笑
ちなみに、CPUの場合はヒ―トスプレッダの中央にちょこっとだけ塗る人もいるけど、それはCPUコアがヒ―トスプレッダの中央付近にしかなく、中央さえグリスが行き渡っていれば熱移動にさほど支障ないからです。
非導電性のシリコングリスなら別にはみ出しても問題ないのでGPUコアには端まで塗りましょう。
ウォーターブロックの取り付け
ウォーターブロックに付属のブラケットをネジ留めします。
前世代まではビデオカードにもともと搭載されていたブラケットを使いまわしてたけど、今作は付属ブラケットでブラックに統一できます。
実はここでトラブルがあって、
インストールマニュアルにはM3x6mmネジで固定するよう記載されてたけど、付属のネジセットにはM3x6mmネジが1本しか入ってませんでした。
今回は足りないネジを補うために手持ちの銀ネジを使いました。(写真中央)
本来は黒いネジだけど、基板を取り付ければ見えないので気にしないことに笑
EKさんはネジセットを汎用的に用意しており、余計なネジがたくさんある場合や、逆に足りないこともあります。割合としては10回に1回くらいかな...せっかく製品自体のクオリティは高いのでこんなところで評判を落とさないよう、検品はもう少し頑張ってほしいところです。ちなみにスロベニア本社から購入していても、EK Japanさんへ連絡すればRMAサポート等は受けられるので、何か問題があった場合は「jp.rma@ekwb.com」に相談してみましょう。
気を取り直して、いよいよ基板とウォーターブロックをドッキングです。
ウォーターブロックを下にして、その上からネジ穴を見ながら基板を載せるとスムーズに取り付けできます。
その際、ウォーターブロックに取り付けたブラケットが出っ張っていて、水平に設置できないので、ティッシュボックスなど少し高さのあるものに出っ張りを避けるように載せると作業しやすいです。
基板を載せたらインストールマニュアルどおりネジ留めします。
基板を傷つけないよう付属のワッシャーを使うのを忘れずに。
写真を撮った時点では右下のネジを忘れてたので後で付けました。。。
👉ネジ留めも指差し確認を忘れずに
続いて、基板裏にもサーマルパッドを貼っていきます。
バックプレート側に貼ってもいいですし、どちらでも良いと思います。
サーマルパッドは1.0mm、1.5mm、2.0mmと厚みが複数あるので、よくマニュアルを見て間違えないよう作業しましょう。
バックプレートを上から載せてネジ留めします。
ブラケットとI/Oポートを固定するネジはビデオカードにもともと付いていたネジを使用するようになってますが、マニュアルでは3か所留めになってます。
3か所留めでも使用上問題ないけど、各I/Oポートに隙間ができないよう、全ポート分(ASUS TUFの場合、DP Port x3、HDMI x2なので5か所)留めました。写真では右上のHDMIポートが見切れてますゴメンナサイ。
以上でウォーターブロックの取付作業は完了です!
フラットでスクエアなデザイン。このシンプルさが凄くいい。。。EKのロゴ部分がワンポイントのシルバーとしてキラッと光るのがオシャレですね。
取り付けたプラグは本ウォーターブロックの付属品ではなく、家に余ってたものです。
ビデオカードのオーバークロック設定方法
本記事を読んでいただいてる方はご理解いただてると思いますが一応Disclaimerを確認ください。
ビデオカードのオーバークロックはマザーボードのBIOS画面では設定できないため、Windows上からソフトウェアを使用して設定します。
各種ビデオカードメーカーがオリジナルのソフトウェアを出してるけど、多機能で使いやすいため私はMSI Afterburnerを使用してます。
オーバークロックの設定手順
①POWER LIMIT(%)とTEMP LIMIT(℃)を最大へ
スライダーを右端の最大に設定します。
RTX4090の標準POWER LIMITは100%で450Wです。
ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4090では133%の600Wまでリミットを引き上げることができました。この600WというのはRTX4000シリーズから採用された新規格「12VHPWR」の上限値です。
ビデオカードによってVBIOSが異なるので、同じRTX4090でもモデルによっては100%で最大になっていたり、120%までだったりします。
110%あたりまでスライダーを動かせる製品なら3GHzのオーバークロックは可能です。
また、使用する12VHPWRの補助電源ケーブルも150W、300W、450W、600Wと種類があるので供給できる電力量が違います。
8ピンx1 to 12VHPWR:150W
8ピンx2 to 12VHPWR:300W
8ピンx3 to 12VHPWR:450W
8ピンx4 to 12VHPWR:600W
RTX4090に付属してる変換コネクタは8ピンx3か8ピンx4です。
8ピンx4 to 12VHPWRの変換コネクタでないと450W以上のリミッターは解除できないということになります。
個人的には付属のNVIDIAロゴの入った変換コネクタは配線が脆くコネクタ部の発火・溶解リスクも高いため、オーバークロックを楽しむには不安なので600W対応の12VHPWRが使えるATX3.0対応電源ユニットに買い替えがオススメ。
TEMP LIMITは水冷化した場合、常用するOC程度ならそこまで温度が上昇することはないので気にせずMAX設定にするのが定石です。
②CORE CLOCK(MHz)とMEMORY CLOCK(MHz)にオフセット値を入力
ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4090は非OCモデルなので、デフォルトのブーストクロックは2,520MHzです。実働ではGPU Boostによって2,745MHzまで上昇することを確認してるので、今回は実働3GHzを目標にCORE CLOCKは+255MHzを設定しました。著名OCerのduckさんにもヒアリングしてみたところ、常用環境では大体の個体で3GHz前後が回るそうです。ビデオメモリは11,760MHz~12,240MHzあたりとのことでした。
MEMORY CLOCKは12,000MHzとなるよう+1,500MHzを設定しました。
個人的にはビデオメモリをOCしても効果のあったベンチマークやゲームタイトルを見たことないので12ギガーという数値上の満足だけになるかなと思います笑
不要ならMEMORY CLOCKは0のままで良いでしょう。
③設定値を反映
設定した内容をビデオカードに適用するには反映ボタンを押します。
念のため、正常に反映されたかGPU-Zなど情報表示ソフトウェアで確認しましょう。
GPU-ZではMemoryはByte換算されてるので、現在値とデフォルト値の差を8倍にした値が、Afterbunerで設定した値とほぼ一致するはずです(GPU-Zでは小数点以下が切り捨てられてるので完全に一致はしないこともあります。)
(1500 - 1313) ×8 = 1,496 ≒ 1,500MHz
Boostクロックはそのままデフォルト値との差がAfterbunerで設定した値と一致します。
2775 - 2520 = 255MHz
④必要ならプロファイル保存とWindows起動時に自動反映
保存ボタンを押すと画面右側の1~5までの番号に青い下線が点滅するので、保存したい番号を左クリックしてプロファイルを保存します。
逆にプロファイルを削除したいときは削除したいプロファイル番号の上で右クリックします。
保存プロファイルの内容を反映するときはプロファイル番号を左クリックして反映ボタンを押します。
現在反映されているOC設定をWindowsが起動したときに自動的に反映したい場合、画面右上のWindowsロゴを左クリックして青色にします。
検証環境とレギュレーション
使用パーツ一覧
ケース | STREACOM BC1 V2 Open Benchtable Silver |
---|---|
OS | Windows 11 Pro (Ver.22H2) |
マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS Z790 APEX(BIOS: 0703) |
CPU | Intel Core i9 13900K |
CPUグリス | Thermal Grizzly Kryonaut Extreme |
CPU水枕 | EK-Quantum Velocity² D-RGB - 1700 Nickel + Satin Titanium |
メモリ | Team DELTA RGB FF4D532G7200HC34ADC01 (DDR5-7200 CL34 16GB x2) |
ビデオカード | ASUS TUF Gaming GeForce RTX 4090 |
ビデオカード水枕 | EK-Quantum Vector² RTX 4090 D-RGB - Nickel + Acetal |
NVIDIAドライバ | 527.56 |
ストレージ(システム) | Samsung SM951 256GB |
電源ユニット | 玄人志向 PLATINUM KRPW-PA1000W/92+ |
リザーバ/ポンプ | EK-Quantum Kinetic FLT 120 D5 PWM D-RG - Plexi |
ラジエータ | Alphacool NexXxos UT60 Full Copper 360mm |
ラジエータファン | Cooler Master MASTERFAN SF120M x3基 |
冷却環境
室温 | 室温計 24.8℃ |
---|---|
水温 | 水温計 26℃ |
ポンプパワー | 80%、回転数4000 rpm |
ラジエータサイズ | 幅360mm、厚み60mm |
ファン回転数 | 1500 rpm |
OC設定
CPU
P-Core | 2-Cores Clock 6.1GHz 4-Cores Clock 6.0GHz 5-Cores Clock 5.9GHz 6-Cores Clock 5.8GHz 7-Cores Clock 5.7GHz 8-Cores Clock 5.6GHz |
---|---|
E-Core | 2-Cores Clock 4.7GHz 6-Cores Clock 4.6GHz 12-Cores Clock 4.5GHz 16-Cores Clock 4.4GHz |
Cache | 5.0GHz |
メモリ:XMP 3.0適用
Clock | 7200MHz |
---|---|
CL | 34 |
tRCDRD/tRCDWR | 42 |
RAS PRE Time | 42 |
RAS ACT Time | 84 |
tRC | 126 |
CR | 2T |
他 | Auto |
VDD Voltage | 1.40 V |
VDDQ Voltage | 1.40 V |
ビデオカード
Boost Core Clock | 2,775MHz (+255MHz) |
---|---|
Mem Clock | 24.0GHz/GPU-Z読み1,500MHz/Afterburner読み12,000MHz (Afterbuner読み+1,500MHz) |
Power Limit | 133% |
Temp Limit | 88℃ |
ベンチマーク
スクリーンショットは、本格水冷+オーバークロック時のみ掲載してます。
3DMark
FireStrikeはDirectX11のAPIを使用した3Dグラフィックス性能を測るベンチマーク。
2013年2月にリリースされて以降、グラフィックスベンチといえばコレってくらいの定番。(CPUでいうところのCINEBENCHみたいな)
今回はビデオカードの性能をチェックするのでGraphics scoreでチェックしてます。
TimeSpyはDirectX12のAPIを使用した3Dグラフィックス性能を測るベンチマーク。
2016年7月にリリースされて以降、FireStrikeと同じく愛されつづけている定番ベンチ。
今回はビデオカードの性能をチェックするのでGraphics scoreでチェックしてます。
SpeedWayは2022年10月12日にリリースされたばかりのグラフィックスベンチマーク。
最新APIであるDirectX 12 Ultimateを使用。
反射の間接光「グローバルイルミネーション」、リアルタイム反射光「リアルタイムレイトレーシング」、PBR(物理ベースレンダー)、可変レートシェーディング、メッシュシェーダーなどを利用したパフォーマンスをテスト可能。
NVIDIAも次世代性能を計測するならSpeedWayを使ってほしいと推奨しているらしい。
非OCでは電力制限があるため、TimeSpyやSpeedWayといった重たいベンチでは空冷と水冷でスコアに差はありませんでした。FireStrikeだけ3%程度のパフォーマンスアップが見られました。3GHzにOCすることで5~8%の性能アップ。
ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ
DirectX 11 API動作のゲーム。
新生エオルゼア以降、未だに人気の衰えないオンラインRPG。
暁月のフィナーレは2021年12月リリース。
メモリのオーバークロックでぐいぐいスコアが伸びるため、OCerにも人気のベンチマーク。
非OCでは電力制限があるため空冷と水冷でスコアの差はありませんでした。
3GHzにOCすることで4K解像度では7.5%と上々なパフォーマンスアップが見られたものの、フルHD解像度ではスコアアップせず。
フルHD解像度だと平均GPU使用率が52%で遊んでいる状態なので、CPUやメモリをさらにOCしないとこれ以上のスコアアップは難しそうです。
平均フレームレート | フルHD | 4K |
---|---|---|
WaterCooling OC | 329.1313 fps | 215.0370 fps |
WaterCooling | 328.3972 fps | 202.6700 fps |
AirCooling | 327.6397 fps | 201.8635 fps |
ファイナルファンタジーXV
DirectX 12 API動作のゲーム。PC版は2018年3月リリースと4年以上経っているオフラインゲームだけど、2022年時点においても比較的重いタイトル。
非OCでは電力制限があるため空冷と水冷でスコアの差はありませんでした。
3GHzにOCすることで4K解像度では5.9%と上々なパフォーマンスアップが見られたものの、フルHD解像度ではスコアアップせず。
FF14と同様でフルHD解像度ではGPUが遊んでいる状態なので、CPUやメモリをOCしないとこれ以上のスコアアップは難しそうです。
PSO2ニュージェネシス
DirectX 11 API動作ではあるものの、2021年6月にリリースされた比較的新しいタイトルのオンラインアクションRPG。負荷としてはFF15ベンチマークの高設定と同程度な感じです。フレームレートは180fps制限があります。
非OCでは電力制限があるため空冷と水冷でスコアの差はありませんでした。
3GHzにOCすることで4K解像度では2.6%と若干のパフォーマンスアップが見られたものの、フルHD解像度ではスコアアップせず。
フルHD解像度ではフレームレート制限で上限スコアに達しており、これ以上はハードウェアのパフォーマンスを上げてもスコアはアップしないと思います。
GPUクロック
FF14ベンチマーク 最高品質 4K解像度で実行したときのGPUクロックをMSI Afterburnerで計測しました。
FF14 最高品質 4K解像度 | 平均GPU Clock | 最大GPU Clock |
---|---|---|
WaterCooling OC | 2,987MHz | 3,000MHz |
WaterCooling | 2,725MHz | 2,745MHz |
AirCooling | 2,710MHz | 2,730MHz |
非OCでは電力制限があるものの、より温度マージンがある水冷のがやや高いクロックを維持できています。
オーバークロックした場合はほぼ3GHzを維持できてることがわかりますね。
温度
3DMark SpeedWayのStress Testモードを使って100%負荷の温度を測定しました。
Stress Testモードはベンチマークを連続20周するテスト内容です。1周がちょうど1分のためテスト時間は20分になります。
GPU温度
SpeedWay StressTest Mode | 平均GPU温度 | 最大GPU温度 |
---|---|---|
WaterCooling OC | 57℃ | 61℃ |
WaterCooling | 55℃ | 58℃ |
AirCooling | 63℃ | 65℃ |
空冷から水冷にすることで平均GPU温度で▲8℃、最大GPU温度で▲7℃の冷却力アップを確認できました。
期待していたよりも冷却性能差は開きませんでした。
おそらく、6.1GHzまでOCしているCPU 13900Kと同じラジエータで冷却していることも冷却効果に影響してるかと。
GPU専用にラジエータを用意すればもっと温度を下げられるとは思います。
なお、GPUクロック3GHz、ビデオメモリ12,000MHzへOCすると、非OC時の水冷と比較して2~3℃上昇しました。
水冷時のカード表面温度
サーモグラフィカメラ Seek SHOT PROを使用して水冷化したビデオカードの表面温度を計測しました。
非OC カード表温度:MAX 43℃
非OC カード裏温度:MAX 49℃
OC カード表:MAX 42℃
OC カード裏:MAX 49℃
非OC、OCでカード表面温度は変わらないようです。
基板裏にメモリ実装がないものの、サーマルパッドを伝ってアルミ製バックプレートへしっかりと熱移動しており50℃近いため、エアフローはあった方が良いでしょう。
消費電力
3DMark SpeedWayで100%負荷の消費電力を測定しました。
GPU Power
SpeedWay | 平均GPU Power | 最大GPU Power |
---|---|---|
WaterCooling OC | 466W | 488W |
WaterCooling | 436W | 454W |
AirCooling | 446W | 454W |
非OCでは空冷、水冷どちらも電力制限がかかるので最大454Wでした。
電力制限を133%(600W)に解除して3GHz OCした場合、30W程度増加しました。
システム全体の消費電力
システム全体の消費電力はラトックシステムのBluetoothワットチェッカーを使って計測しました。
なお、Windows11の電源オプション設定は「バランス(推奨)」でテストしています。
CPUやメインメモリもオーバークロックしているので、だいぶ消費電力は高いと思います。参考程度に見てください。
3DMark SpeedWay実行時の最大消費電力
CPU、メモリ、ビデオカードすべてをオーバークロックした場合、666Wという恐怖の消費電力になっていました笑
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が、新電力料金目安単価として示しているのは1kWhあたり27円(税込)なので、27円/kWhをベースに1時間の電気代を計算してみました。
消費電力(666W)÷1000×使用時間(1時間)×1kWhあたりの料金単価(27円/kWh)=17.982円
1日3時間、365日ゲームで遊んだ場合、19,690円(月1,640円)
。。。月単位でみるとなかなかのサブスクに課金してる気持ちになりますね笑
まとめ
ASUS TUF Gaming Geforce RTX4090は空冷クーラーで十分冷えており、標準の電力制限にかかるところまでGPUクロックも回っているため、本格水冷にして温度マージンを増やしてもGPUクロックはあまり伸びませんでした。
一方で、4K解像度などGPU負荷が高い状況下では手動によるオーバークロックでスコアが伸びていたため、もう少しフレームレートが欲しいなって人は本格水冷なら3GHzクロックを維持し続けられるので、導入してみるのも良いでしょう。
個人的にはマザーボードの3スロット目PCIeが使えるようになることや、幅が30cm未満になることでケース選びがし易くなるのはメリットかなと。
あとはウォーターブロックを装着したスマートなデザインが好きかどうかだと思うので、コストを気にせず見た目やロマンを追い求めるエンスーユーザは是非チャレンジしてもらえたらなと思うます!
いかがでしたでしょうか。
ビデオカードを本格水冷にするメリット・デメリット、ウォーターブロックへの換装手順、オーバークロックの設定方法などを含めた完全解説版としてしっかりとご説明できたんじゃないかと思います。
記事の文字数が1.5万を超えてしまったので今回はこのあたりで締めくくりたいと思います。
それでは最後まで読んでくださってどうもありがとう٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
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